相沢「所有物…?」


先輩の言葉に
相沢くんの顔がさらに険しくなる。


美奈「ちょっと先輩。いきなり何言い出すんですか。気持ち悪っ。」


だいたい所有物ってなんなんだ。
思考が痛すぎて泣けてくる。
いくらイケメンでも許される代物ではない。


しかし、私の言葉なんて無視して
先輩は続ける。


帝「そうだよ、ガキ。こいつは俺のもんてこと。わかったらさっさとどっかいけ。」


相沢「…」


なっ、

なんて失礼なやつ!
相沢くんは親切に助けてくれただけなのに。

荷物持つのを断るあんたと違ってね!


美奈「先輩。勝手なこと言うのもいい加減にしてください。むしろ顔も見たくないですよ、私。」


グイッ


と先輩を引き剥がし、



パンパン


触られたところを払う。


美奈「あー、制服が汚れた。クリーニング行きだわ。」


帝「お前なぁ…」


そんなやりとりをしていると、

相沢「先輩。」


ずっと黙っていた相沢くんが口を開いた。


帝「なんだよ。」


相沢「いえ…なんでもありません。」


そして彼はこっちを見ると、


相沢「…じゃあまた。」

相変わらず無表情で私にそう伝えると
部活へと戻っていった。