彩香「私ね。将来、プロのスタイリストになるのが夢なんだ…」


美奈「え…」


彩香「あはは、こんな真面目な話、したことなかったもんね。驚くよね。」


彩香はそう言って、
ちょっと照れくさそうに笑った。


彩香「私のおばさんが、雑誌のディレクターやってるから、小さいときから雑誌を読むのが好きで、そこに写っているキレイなモデルさんを見てた。」


美奈「…」


彩香「そんなある日、たまたまおばさんのツテで、ファッションショーの撮影会を見に行く機会があって、そのとき一目惚れしたんだ。プロとして活躍するスタイリストさんやヘアメイクさん達に。」


そういう彼女の瞳は、
見たことがないくらいに輝いていた。


彩香「もちろん、モデルさんは信じられないくらいキレイだった。でもその一人ひとりの個性や長所を引き伸ばす技術やセンスはどれだけ見ていても飽きなかった。」


彩香は、本気、なんだ。
自分の憧れるものへの挑戦心や向上心。
今の私に、彼女ほど語れる何かがあるだろうか。


彩香「だからね、私、美奈の可能性を伸ばしたい。美奈は周りが思っている評価よりも、もっともっと輝けるってずっと思ってた。私がなんとかして協力したいって、ずっと思ってたんだよ。」


美奈「彩香…」


彩香「美奈がさ、自分は変わらないままでいいと思っているなら諦めもついた。でも違った。ここ最近の美奈は、変わりたいって私に言ってくれた。だから___」


___もう、逃げないで。


言葉を発していなくても、
彩香が言いたいことがわかった。

逃げるな、と。向き合えと。
そのためなら、協力すると。
そう言われてるんだね。



美奈「っはぁ~ー…、彩香、反則でしょそれ。」


彩香「ってことはもしかして…!」


美奈「親友がこれだけ熱く自分の夢を語ってくれたんだもん。逃げるわけにはいかないよね。」


うん。そうだ。私は変わろうと決めたんだ。
自分らしく、自分に自信を持つために。


美奈「森永美奈、コンテスト参加します。」



いっちょ親友と自分のためにやってやろうじゃないか。