ドクン…




ドクン…




あれ…



おかしい。



前は、先輩に触れられるのが怖くて
ゾワゾワして
すっごく嫌だった。


それなのに…



…ドクン




今は感じたことがないくらい
心臓がうるさくて
身体全体が熱くて、…



こんなの、私じゃない。

どうしたんだろう。


この気持ちは一体____…





ーー"君は沙羅によく似ている"







そうだ。

勘違いしちゃいけない。


先輩の視線、言葉、そのすべては
私ではなくて、沙羅さんへ向けられたもの。 

この温もりは、所詮、幻想。

いつかなくなる。


だから、


美奈「…許可なく触れないでください。」


私は私。自分を見失わないで。


これ以上、この人へ踏み込んではいけない。

自分の感情を飲み込まれる前に。


先輩の腕の中、
私は必死に自分へそう言い聞かせたのだった。