ルックス・一般社会における地位・学力……その他諸々、あたしがこいつより勝っている部分なんて、一切合切ない。

でも、性格面でいえばあたしの方が幾分マシであるだろう。こいつ、全てを得て性格腐ったんじゃないの?


「お前さぁ、今とんでもなく失礼なこと考えてんだろ」


ジトッとした目であたしを見ている九条。


「お前、顔に出すぎ」

「それは失礼しましたーー」


すると、いきなり顔を近付けてきて間近でピタッと止まった。 


「やっぱお前……女捨ててんだろ」

「……は?」


あたしは死んだ目をして九条を睨み付ける。

別に女を捨てているつもりはない。確かに女の子っぽくはないし、女子力は著しく低い。それでも女を捨てた覚えはない。大切なことだからもう一度言おう。“女を捨てた覚えはない!!”。


「大抵の女はさ、俺がこうやって迫ったら頬を染めて、すんなり受け入れるんだよねえ。お前、本当もったいねーな。スタイルもまぁそこそこだし、顔もそれなりに悪くはないのに~。ま、あんな犬小屋に住んでたらそうなるか……哀れだな」


──── あの、1発殴ってもいいですか?


ていうか、なんであたしの家まで把握してんの?ヤバすぎない?こいつ。

・・・・にしても、本当にうざい。


「は?哀れなのはあんたの方でしょ」

「あ?」

「今、あたしに殴られてないことを感謝しなさいよ」

「はっ。なんっだそれ、意味わかんねえ」


ヘラヘラしながら離れる九条。マジで1発ブン殴りたかったわ。