「くくくっ。尚更面白くなりそうじゃん」


・・・・こいつの存在が、俺のクソつまんなかった日常を面白おかしくしそうな予感がする。

あんのジジイ、たまには面白いもん持ってくんじゃん。最高だわ。

自然と顔が緩んで、久々楽しみができたことに、柄にもなくワクワクした。


──── 翌朝。


「行くのか?」

「あ?ああ、まあ暇潰しにはなんだろ?」

「……その小娘、なかなか悪くないぞ」


ニヤッとしながら、どこかへ去っていったジジイを横目に家を出た。

・・・・『なかなか悪くないぞ』か。どういう意味かはサッパリ分からんけど、少しだけ高ぶる気持ちを抑えながら“七瀬舞”の自宅へ向かった。


──── まあ、お世辞でも綺麗とは言えない外観の家で、俺からしたらこんな家に人間が住めんの?と疑いたくなるレベルの住宅。


「柊弥様、いかがなさいますか?」

「んーー。もう時間的に学校に向かってんでしょ。そいつの通学路行ってくんね?」

「承知いたしました」


俺の指示で七瀬舞の通学路を走らせた。

車に揺られながらボケーーッと外を眺めていると、俺の視界に入ってきたひとりの女。

後ろ姿なのに“あいつ”だ……とすぐに分かった。

ゆっくり車を走らせ、横を通過する時にチラッと顔を確認すると……スモークガラス越しに見えた女は、写真で見るよりも随分と整った顔立ちをしていた。

・・・・へえ、やっぱ悪くねぇかもな。