俺は九条財閥の御曹司で、自他共に認める超イケメン。んで、御曹司っつーことは超金持ちってわけ。

何不自由することなく生きてきたとか言わずもがなでしょ。

欲しいと思ったモンは必ず手に入れるし、当たり前のように必ず手に入った。俺が欲しいっと思って、手に入らなかったモンは今までかつてない。

物だろうが、女だろうが、何だって俺のモンになった。

全てに恵まれ、何でも与えられる、何でも手に入る環境下で過ごしていた俺は、徐々に何を得てもつまらなくなっていた。


──── クソほど“退屈”。


この一言に尽きる。

女は俺のルックスや地位に目が眩んで、似たり寄ったりな奴ばっかしか寄って来ねえし、ちょっとした暇潰しにすらなんない奴なんて数知れず。

マジでしょーもない。

女なんて、どれもこれも変わらんっしょ。リアルにどれもこれも一緒に見えて仕方ねえしな。

・・・・ベタベタした甘え声、クセェ香水、厚化粧、露出狂──。 

そんな女ばっかで吐き気がするわ、気持ち悪ぃ。マジで呆れるよねえ、ろくな奴が居ねーわ。

だから、俺のそん時の気分で適当に遊んでやる。女なんてそんだけの存在でしかない。

ま、この俺に相手してもらえるだけありがたいと思ってほしいよね~ってこと。


──── そんな俺は今日も今日とて、退屈な時間を適当に過ごしてた。


ソファーに転がってスマホをいじっていると、ガチャッと部屋のドアが開く。ノックもしないで俺の部屋に入ってくんのは、この屋敷でジジイくらいしか居ない。