「あ、あのぉ~。あたし……何かしましたでしょうか……?」


シーーン。


誰も反応してくれないし、ジリジリ迫ってくるし、ただただ怖いんですけどーー!!


「はは。し、失礼しまぁぁす……」


頭をペコペコ下げて走り出そうとした瞬間、スーツ男にガシッと腕を掴まれた。


「……っ、ちょっ、離して!!」

「七瀬様、どうか落ち着いてください。我々は怪しい者ではありません」

「見るからに怪しいですよね!?」


どっからどう見ても怪しいわ!!『我々は怪しい者ではありません』って、どの口が言ってんのよ!!ふざんけなっ!!

ジタバタ暴れまくるあたしを逃がすまいと、あたしをガッシリ掴んで離さないスーツ男。

嫌、こんなの絶っ対に嫌!!こんなところであたしの人生終わるとかマジで嫌だ!!


「誰か……誰か助けっ……」

「おい」


──── 聞き覚えのある声。


「俺のモンに許可なく触れんなよ」


その一言でスーツ男達がサッと後ろに下がって、頭を下げている。そして、あたしの視界に入ったのは綺麗な髪色をした高身長の男。

うわぁ、腕と脚ながぁぁ。身長は180cm……いや、もっとあるな。

スタイル抜群で適度に制服を着崩して、めちゃくちゃチャラチャラしているわけでもなく、絶妙な塩梅。ご尊顔は……言うまでもなくイイ。


──── この男、間違えなく今朝会った男だ。


「よぉ、今朝ぶり~」


胡散臭い笑みを浮かべながらヘラヘラしてあたしに近付いてくる男。