あたしは風の如くビュンッと走って、ノンストップで教室へ向かった。

バンッ!!

教室のドアを勢いよく開けてると、クラスメイトの視線が一気にあたしの方へ向いて、注目の的になってしまった。


「はぁっ、はぁっ、はぁっ……ははは。えっっとぉ……ごめんなさ~い」


今できる最大限の笑みを浮かべながら頭をペコペコと下げて、あたしを見てクスクス笑っている友達のもとへ向かう。


「貧乏人って走ってないと死ぬの?ウケる~」


全力疾走してきたあたしを小馬鹿にしているのは、スタイル抜群のギャル……熊谷梨花(くまたにりんか)。あたしの親友です。


「おはよ~う。舞ちゃん」


汗だくのあたしを教科書で扇いでくれているのは、ふわふわして可愛らしい女の子……小日向美玖(こひなたみく)。この子もあたしの親友。

この2人は、貧乏なあたしに対してなんの偏見もなく普通に接してくれて、梨花にも美玖にも本当に何かと支えられている。

あたしのとても大切な親友。だから、包み隠さず何でも話しちゃうわけで──。


「ねえ、梨花、美玖。また意味分かんない人に絡まれたんだけど……」

「はあ?マジぃ?舞モテ期到来じゃ~ん。マジでウケる~」

「舞ちゃん美人さんだもんね~」


・・・・いやいや、違うじゃん。そういうことじゃないじゃん!!意味分かんないじゃん。仮にモテ期だったとして、そんなモテ期だったらいらねーーよ!!