「胡桃って名前からして男好きそうだもの。お金を持っている男になら、誰にだって股を開くってもっぱらの噂よ?」

「その女狐、九条様狙いよ?きっとこれを口実に九条様に近づいて、喜んで股をっ……」


は?なに言ってんの?こいつらは──。


「ハハッ、天馬のお嬢様方は面白いことを言いますね。あたしからしてみれば、あなた達の方がよっぽど誰にでも股を開きそうに見えますけど?性格の悪さが顔に滲み出て勿体ないわ。せっかく綺麗にっ……!?」


あたしの隣を走っていた女が、血相を変えてあたしの胸ぐらを掴んできた。


「このクソアマがっ!!」


バシンッ!!!!


脳が揺れるほどの威力で思いっきり平手打ちをされたあたし。さすがにこれはクるわ。


「あなた、何をしているの?」


この声は、前田先輩。


「この女が私達を侮辱っ……」

「45番、直ちに出ていきなさい……失格です」

「そ、そんなっ!!」

「異論は認めません」

「なによっ!!!!」


再びあたしへ襲いかかろうとする女を、周りの取り巻きが必死に止めていた。正直こんな茶番劇どうでもいいから、さっさと先へ行かせてくんないかな。こんなのに付き合ってる暇ないんだけど。

やりたきゃ他所でやってろよ、くだらない。