「全くだな」

 
そう言うと、あたしにフワッと上着を被せた九条が、ガクガク震えている男の胸ぐらをいきなり掴んだ。


「ちょっ、九条!!」

「……テメェ、誰のモンに手ぇ出したか分かってんのか?」

「ひぃっ!!す、す、すみません!!」

「覚悟はできてんだろうな」

「まぁまぁ、柊弥……落ち着きなよ。で?誰の指示かな?」


九条と蓮様にガン詰めされて、真っ青な顔をしながら全身を震わせている男。


「……っ、ぼっ、僕のっ……僕の独断です。だ、誰の指示でもありません!マスターは一切関係ない!!」

「蓮、上杉呼べ」

「了解」


・・・・ちょっと……待って、待って、待って!!


「ちょっと待ったぁぁ!!!!」


そう叫んだあたしに驚いた顔をしている3人。


「マスターの指示か、そうじゃないか……とかぶっちゃけどうでもいいし、この人の独断かそうじゃないかとかそんなのも知らない。でも、仮に指示だったとして……やっぱサーバントは逆らえない立場にあるとは思う。だから……あたしに対して申し訳ないって思ってくれてるんなら、1週間あたしの代わりにトイレ掃除して」

「「「……は?」」」


拍子抜けした顔で見事に声を揃える3人。