性根の腐った笑みを浮かべながら、コーヒーを床にべちゃべちゃと溢すお嬢様。それを見てクスクスと笑う周り。お嬢様方のサーバントは……ああ、そうですか、見て見ぬふりですか。


「これ、捨てといてちょうだいね~」


コーヒーが入っていた容器をあたしに向かって投げ捨て、勝ち誇ったような顔をしながら去っていく。

・・・・なんだあれ。

あたしは仕方なくコーヒーを拭き取ってゴミを捨てた。それから無心でトイレ掃除をして、トイレの多さに絶望しかけながらもなんとか頑張った。


「……よし、ここがラスト」


ここが終われば今日の業務は終了……よく頑張っ……バッシャンッッ!!


・・・・頭上から水が降ってきた……というより、水が勢いよく落ちてきた……という表現の方が合っているかもしれない。全身びしょ濡れになるあたし。


「……はぁぁ。なんっだこれ……」


自分が濡れたことより、びしょ濡れになった床や便器の掃除をすることの方が遥かに辛い。

ああ、もぉーー面倒くさいなぁ……。掃除をする気力がなくなり、ただ立っていることしかできない。

すると、人の気配が近付いてきて──。


「お~い、まだ終わんねえの?……って、どんだけ床濡らしながら掃除してん……だ……よ」