・・・・コソコソ話しているつもりなんだろうけど、丸聞こえなのよね。


「大丈夫ですか?」

「ふぇ?」


パンを口いっぱいに頬張りながら、話しかけてきた前田先輩を見た。


「私が黙らせましょうか?」

「あーー、あたし気にしてないんで大丈夫です。何かと言われ慣れてはいるんで。そんなことよりも、より多く食べたいから急がないと!!」

「フフッ」

「……え?」


前田先輩が、あのキリッとした前田先輩が……めちゃくちゃ可愛い顔をして笑っているだとぉぉ!?


「本当に面白いですね、七瀬さんは。九条様があなたを選んだのが分かる気がします」

「え、ああ……そうですか」


・・・・そして、あたしは人目も気にせず食べまくって、午後の授業はほぼ魂と意識が飛びかけて終わった。


「七瀬さん、こちらへ」

「……はい」


上杉先輩に連行され、用意されていたエプロンと何故か三角巾を頭につけるはめになり、掃除用具を両手に廊下をトボトボ歩いた。

クスクス笑われるし、盗撮されるし……最悪。


「あら、とってもお似合いね」

「九条様のサーバントなんて辞めて、清掃のアルバイトでもしたらどうかしら?」

「フフッ。ごめんなぁい、溢しちゃったわ……綺麗にしといてくださる?」