「はあ?つーかさ、本来サーバントはマスターの一歩後ろを歩くもんなの。お分かり~?」

「……ああ、そうですかーー」 


あたしはすかさず三歩後ろへ下がった。


「はぁぁ。お前さぁ……どんだけひねくれてんだよ」

「九条""様""に言われたくはありません」

「ふーーん。そういう態度ですかぁ」


何やら嫌な予感がしてならない。


「な、なによ……」

「マスターであるこの俺にもサーバントにペナルティを科すことができるってこと……この意味が分かるか?」


ニヤッと不気味な笑みを浮かべている九条。ゴクリと生唾を飲み込むあたし。


「トイレ掃除……なーーんて生半可なもんじゃねーぞ?俺のペナルティはなぁ」


こいつ……絶対にエッチなことするに決まってる!!『お前の体でたっぷり奉仕してもらわねえとなぁ?』とか言いかねない!!

あたしはスッと九条の一歩後ろに移動した。すると、ポンッと九条に背中を押されて一歩前へ──。


「いい」

「え?」 

「お前は俺の隣を歩けばいい」

「いや、サーバントとは一歩後ろを歩くもんなんでしょ?だったらっ……」

「いいっつってんじゃん。俺が許可する」


まあ、もうなんでもいいや。


「はあ……そうですか」


そして、あたし達は溜まり場へ戻った。

ソファーには鬼の形相ガールとニコニコ微笑んでいる男が座っていて、そのソファーの後ろに眼鏡先輩と、キリッとした女子が立っている。