「くくっ。すんげえ間抜け面~」

「……ここ、本当に学校?」

「うん」

「人も思った以上に多いし……」


制服を着ている人や着ていない人までたくさんいる。


「ああ、ブランドショップからコンビニから何から何まで基本的に揃ってるからね~。学生以外にもショップ店員とか、学生の身内なら天馬の敷地内に入って買い物したりできるようになってるから、うろちょろしてんのが多くて賑わしく見えんじゃね?ま、俺は滅多にここで買い物することはないけど~」

「……はあ、そうですかあ……」


あたしは窓越しにキョロキョロしながら、既に物凄いアウェイ感に押し潰されそうになっている。

キュッと緩やかにブレーキをかけ、停車した場所は……外観からしてレベルの違う高級感が眩しいほどに溢れ出す校舎らしき建物。ものすんごくキラキラしてて、眼球が痛くなるほどだった。

まさか、こんな校舎に毎日通うわけ……!?


「では、いってらっしゃませ。柊弥様、七瀬様」


運転手さんが後部座席のドアを開けて、頭を打たないよう手でカードしている。それを当然かのごとく受け入れ、車内から出ていく九条。


「おーーい、行くぞ~」

「……え、あ、う、うん」


運転手さんにお礼を言って、少し先を歩く九条の元へ急いだ。


「ごきげんよう。柊弥様」

「今日も素敵ですわ」


などなど、お嬢様方に挨拶されてるけど、特に言葉を発することなく、胡散臭い笑みを振り撒いているだけ。