「会長もご登校だわ!」
「今日も一段とクールで素敵ねぇ〜……。」
「真顔なのにとってもオーラが出てるわぁ……。」
そう、彼のこと。
「おはよう、坂藤さん」
「え、ええ。ご、ご、ご機嫌よう銀葉 湊。」
銀葉湊。
彼は、銀杏学園高等部3年A組。そして生徒会長。
ミルクティベージュに染められたサラサラなストレートマッシュに光に当たると青く反射する綺麗な瞳、そしてそれを隠すように付けられた四角い黒縁メガネ。
彼のファンクラブ情報によると身長は186cm。目が青いのはお爺様がロシア人でクウォーターだからみたい。
そうして、わたしの実家である坂藤財閥と並ぶ程の名家、銀葉財閥の御曹司で後継者。
全く笑わない彼、なのにこんなにも素敵に見えるのはどうしてなんだろう。
ついつい後ろ姿を目で追ってしまう。
「灯、挙動不審出てますよ。」
「そ、そんなこと言われたってしょうがないじゃない。」
坂藤家の人間がいないところでは、桔梗はわたしのことを灯と呼ぶ。
敬語なのは変わらないけれど。
「そういえば今日、誕生日だったなおめでとう。」
「銀葉湊はあ、明日でしたっけ!?お、覚えていないですわ!」
銀葉湊と話すのは6年目になっても全然慣れない……。
「覚えていたんだな。」
「も、もちろんよ。もう知り合って6年も経つのよ?」
「……それもそうだな。じゃあ僕はこれで。」
「え、ええ。」
行っちゃったわね……。