お父様は、ろくにわたしと会話を交わそうとしない。嫌われているとかではないけれど、お兄様やお姉様と比べると劣ってしまうわたしに期待をしていないのだと思う。
 けどお母様は、とっても優しい。それでも気の強いお父様にはお母様でも逆らえない。



「ありがとうございます。」



 とっても豪華な朝ごはんで美味しいはずなのに、今は全く味がしない。



「そういえば、明日の日程を伝えていなかったな。」
「いえ、桔梗から聞いているので大丈夫です。」
「……そうか。」
「明日は、お父様達は来られるのですね。」


 根っからの仕事人間のお父様は、長男でも長女でもない私の行事なんかには来てくれたことはないけれど。


「ああ。うちと並ぶ程の家柄だからな、行かないわけにはいかない。」
「そうですか。」


 並ぶほどの家柄?そんなの銀葉財閥くらいしかないんじゃないかしら?
 でもあそこの御曹司って…。


「あら、もうこんな時間じゃない。灯ちゃん、そろそろ車に乗ったほうが良いわ。」
「ええ、そうします。」



お母様がそう言うとちょうどよく部屋の入り口には桔梗が来ていて、わたしはそのまま学校へと向かった。