「それにお嬢様は色白なので黒がよくお似合いです。」
「そうかしら。目が少し赤いから吸血鬼みたいで不気味じゃない?」
「それもそれで、わたしは素敵だと思っていますよ。」
器用なことに丁寧にわたしの髪の毛をときながら他愛無い話をたくさんしてくれる。
「できました。お化粧は自分でされますか?」
「そうするわ。」
「では、着替えて参ります。」
学園の制服は、男子はグレーで無地の学ラン。そして向日葵色のマントを羽織る。
女子は、男子と同じグレーで無地のミモレ丈ワンピースを着る。
そして腰に太めの黒いベルトを付け、向日葵色のベレー帽を被る。
わたしは違うけれど、生徒会の生徒は胸元に銀杏、つまりイチョウの形をしたゴールドのブローチを好きなところにつける。
あれからわたしは化粧を終わらせて、朝食をとるためにお母様とお父様が待つ部屋へと向かった。
大財閥ということもあって、わたしの住んでいる坂藤邸、実家は相当な広さがある。まさかの5階建て。
自分の部屋からそこまで移動するだけなのに3〜5分はかかってしまう。
わたしの部屋がある4階からエレベーターを使って2階へと降り、そのまま進んでいくと大きくて重たいドアを使用人が開けてくれる。
「おはようございます、お父様、お母様。」
「ああ。」
「お誕生日おめでとう、灯ちゃん。」