ゲラゲラと男たちが笑う。
すると、地面にいる女が、ツンツンとわたし
の足元をつついてきた。
「あなた、今ならまだ引き返せるわ……」
わたしは小声で。
「残念ながら、そのつもりは1ミリも
ありませんので」
「で、でも……!」
「お姉さんは、逃げることだけを考えてください」
わたしはふわっと優しく微笑んだ。
そして。
「じゃ、お嬢ちゃんこれから、俺らとついてきてもらうぜ~?」
ガシッと両肩を掴まれるわたし。
完全に身動きがとれなくなる。
でも、わたしは落ち着いていた。
これで、女の人は助かる。
わたしは、ふいっと後ろを見た。
すると、さっきのお姉さんは、わたしたちと反対方向
に逃げていく。
よかった……。
「おい、何よそ見してんだ、さっさと歩け」
「はい」
「よ~し、じゃあそこの裏路地に入れ」
「はい……」
そしてわたしは、月明かりも差し込まない、路地へと
押し込まれた。