臭い吐息が顔面にかかり、気持ち悪かった。
けど、わたしは怯まない。
わたしは真っすぐと。
射貫くように、男の瞳を見る。
すると。
女の人が地面の上でモゾモゾと動いた。
「だめよ……」
「え?」
「だめよ、あなた高校生でしょ……」
「それが?」
「あなたひとりで、かなう相手じゃない……、
わたしのことはいいから、逃げて……」
「ごめんなさい」
「……え?」
突然謝るわたしに、ますます目を丸くする女の人。
「わたし、ここから引くつもりないんで」
「そ、そんなの、あなたが……!!」
ーーあなたが、危険な目に合う。
女の人は、そう言いたかったんだろう。
だけど。
わたしは、女の人の言葉を遮って。
「言いたいことは、わかります」
「でも……!」
すると痺れを切らした男が、わたしの手首を掴んだ。
「ふーん、察するにお嬢ちゃんが相手してくれんの?」
「はい……」
わたしは重たい口を開いた。