ーー長い黒髪。
ーー黒目の大きい瞳。
ーー細い体。
店の外で見たさっきの制服の女が、
座り込んでいた。
一瞬、精巧にできた人形なのかと思った。
けど、胸が上下しているからして違うようだ。
人形は息なんてしないからな。
……ん?
そいつの手に持っているモノにーー、ぎょっとする。
見間違えるはずもない。
正真正銘の、俺のペンダントだったからだ。
まさか……この女子高校生が?
もしかして“雷雅神”の女か?
だが、それは誤解だったようで。
「誤解だってば!!」
耳がキン、と痛くなるほどの声量。
みんな、俺に対して、男は威嚇するし。
女は、媚びを売るしかしない。
だから、人生で初めて新鮮な気持ちになった。
初めて、人に反抗されたから。
初めて、真正面からぶつかり合おうとするヤツに、
巡り合えたから。
俺の脳裏である考えが浮かぶ。
こいつをーー、俺の“姫”にしよう、と。