「はぁ、アホらしい……」

“暴力”で、支配されているこの街では、

女は非力に等しい。

抵抗する方がバカだと言うのに。

その証拠に。

制服の女は、ゾロソロと男たちに

捕まったままどこかへ消え去った。

さて、俺はどうするかな。

チャプンとカップのコーヒーを揺らす。

「ね~、あの人かっこいい~♡」

「マジでイケメンだよね~♡」

「もうさ、こっちから話し掛けちゃう?」

「え~っ、逆ナン!?」

この店は以前は、女性の客などいなかったのに。

ここ最近だ、見かけるようになったのは。

俺にはどうでもいいが。

だが、静かにはして欲しい。

俺はコーヒーを飲み終えて店を出る。

すると。

「はぁっ……、はぁっ……」

乱れた息遣いが、俺の耳に届く。

誰だ……?

どうやら店の裏から聞こえるらしく、

俺はゆっくりと足を踏み入れた。

この先に誰かいるのか……?

そして。

俺の視界に鮮明に映ったのはーー。