【side琉叶】
喧嘩の最中になくしたペンダント。
俺は、それを探しに“黒猫の街”までやって来た。
ここに頻繁《ひんぱん》に出入りしている俺。
最後に来たのは、たった2日前だ。
ペンダントを紛失したことに気づいたのは。
丁度、風呂に入ろうと思った時。
脱ぐと、首にぶら下がっているはずのものが、無かった。
ペンダントには、漆黒の石が埋め込まれている。
見た目的に高価そうなモノ。
いや、実際に高価なモノなのだが。
アレを“黒猫の街”の奴らが見つけたら。
なんのためらいもなく。
きっと売りさばくか、己の資金にするか。
いや……、でももしかしたら。
俺にケンカ吹っ掛けてきた男らは。
ペンダントが目当てで、俺に近づいたのか?
そう思うと、胸がムカムカしてきた。
“黒猫の街”で、いつもの店でコーヒーをすすりながら、
そんな風に考えてると。
ふと、店の外に、男に囲まれている若い女が見えた。
制服を着ているから、高校生と見て取れる。