「き、京野さんは、なにか花梨に用事があるんですか?」

「んー、まぁな。話したい事があったんだが……、また

今度にするわ。じゃな翼ちゃん」

わたしはホッと胸をなで下ろした。

ーーしかし。

「翼ちゃーん、どこー?」

中から聞こえてきたのは。

紛れもなく花梨ちゃんの声。

わたしの全身からブワッと冷や汗がふきだす。

と、同時に。

みるみる内に、表情が険しくなる京野さん。

「なんだよ、俺に嘘ついてたのか……!?」

「えぇっと、ごめんなさーー」

京野さんはわたしの言葉を無視して。

玄関の中へ、突入した。

「あっ! 待って……ください!」

わたしは京野さんを慌てて追いかけるがーー。

時すでに遅し。

「いやあぁぁぁぁっ!!」

「花梨ちゃん!?」

リビングルームにわたしは向かうと。

京野さんは、花梨ちゃんの髪を掴んで、

上にひっぱって。

「友達つかって、誤魔化そうなんてお前には

100年早いんだよっ!!」

おぞましい形相を浮かべていた。