琉叶をチラリと見ると。

ひとりだまってコーヒーをすすっていた。

わたしは花梨がくれたリップを制服のポッケにしまう。

そしてわたしは思い切って、こんなことを言った。

「そういえば……」

「なぁに?」

「京野さん……とは、どうなの?」

「どうって?」

「電話で言ってたでしょ。急にキレて花梨に

殴りかかることが多くなったって……」

すると、琉叶のカップを持つ手が止まり。

「“京野”って……、一体何者なんだ?」

とわたしたちに尋ねる。

わたしが花梨の代わりに答えた。

「えっと……、京野 紫海《きょうの ゆう》さんって言って、

年上の18歳。一応、花梨の彼氏なんだ」

「……一応?」

「実は、花梨が別れたがってるのに、聞く耳持たないの」

花梨の表情が明らかに暗くなる。

「わ、わたしちょっとトイレ!」

「あっ……、花梨」