「……人助けして、なにが悪いの」

「は?」

「困っている人を放っておくなんて、

わたしにはできない!」

キッと、いがみ合うように言ったわたし。

すると。

わたしが気が付けば。

彼は肩を小刻みに震わせている。

怒っているの? と一瞬思ったが違うようだった。

「……ふん、ずいぶんと強情な女だ」

彼は口元を軽く手で押さえている。

「な、なんで笑うのよ! あなただって助けたじゃない。

わたしの事を……!」

「お前、居場所はあるのか? 自分の」

「……は?」

「もしないなら、俺たちの所にこないか」

「え。そんなの……急にいわれても」

「何か、用事でもあるのか? この街に」

どうして、この男は、勘が鋭いのだろう。

「じ、実は友達が、理由があってこの街に住んでいて。

その友達が、提案したの。『わたしはこの街から

出れないから、誕生日パーティーをこっちでやらない?』って」

「ふーん、その友達っていくつになるんだ?」

「あっ、その……、友達じゃなくて、

わたしの誕生日パーティーなんだけど……」