辛くない……。

つらくない……。

つらくない……?

「や、やっぱり無理!!」

わたしは叫ぶと同時に。

入った路地裏の、反対方向から突然逃げ出した。

男たちは慌てて、わたしを追いかける。

「待て、ゴルァ!!」

「逃げるなんて聞いてねぇぞ!」

「この卑怯女がぁ!!」

振り向くと、恐ろしい形相をした男たちが、

こちらにダッシュでやって来る。

わたしははだけた胸元を抑えて。

無我夢中で、全力疾走で走った。

途中、途中、関係のない人にぶつかりながら。

わたしは建物の暗がりに身をひそめる。

……?

なんだろうコレ……?

足元に地面とは別の固い感触がしたため、

目線を下に向けると。

「……ペンダント?」

それは、漆黒の石が埋め込まれていて。

チェーンに吊り下がった、あきらかに男物の

ペンダントだった。

どうして、こんなものが店の裏に……?

そんなことを考えていると。

「おい」

「!!!」