「それより、何の御用ですか?」


「あぁ。お前には見合いをしてもらおうと思ってな。今回の見合い相手は林田財閥のご令嬢だ」


見合い……


そうだよね。


林田財閥は日本でもトップクラスの財閥。


そんな財閥の令嬢と千景様が結婚すれば、林田財閥とのパイプができる。


本当は雲の上にいるような方なんだよね、千景様は。


千景様と平凡な私が付き合っているなんて、奇跡なんだ。


改めて実感できた。


「お断りします。どうせ断ることになるだけですから、見合いなんて時間の無駄です」


旦那様の言葉を一刀両断する千景様。


千景様の恋人としては嬉しいけど……


「お前は毎回それだな。まさか、好い人でもいるのか?」


「えぇ、好い人ならいますよ」


チラリと千景様を私を一瞥した。


旦那様に気づかれていませんように……