「団欒?先程あなたが俺の親しくないという言葉を肯定したではありませんか。俺とあなたの間に団欒なんてものは存在しません。そもそも、あなたの中での団欒はどうなっているんですか?見合いの話をすることを団欒とは言わないですよ。白野さん、もう行こう」


「あ、はい。失礼しました」


慌てて千景様についていき、旦那様の部屋を後にした。


「白野さん、このまま部屋についてきてくれない?」


「か、かしこまりました」


部屋に着き、中に入るなり抱きしめられる。


「ち、千景様……」


「だから、様付けはやめてよ。父さんとの会話は疲れる。ごめんけど、しばらく抱きしめさせて」


「は、はい」


その前に抱きしめてますけど、とは言えず、了承した。


ドキドキと自分の心臓の音がうるさい。


千景さんの心臓からは少し速い心音が聞こえてくる。


意外……


千景さんもドキドキしているんだ……