「俺の周りに頭が良くて信用のおける人なんか凛ちゃん以外にいないんだよ。瑠衣はまともに教えてくれるとは思わないし、何より俺が下手に出るのは俺のプライドが許さない。」


あ、私には下手に出ても良いんだ。

もしかして私舐められてる?

思わず苦笑が浮かんでしまった。

流石にここまで押されてしまっては断れない。

ちょっと責任は重いけど、私に断らなきゃいけない理由なんて無い。

何より、竜司くんには日頃お世話になっているし、少しくらい恩返ししなくちゃ。

それにちょっと下心も混ぜると、放課後の時間を顔面国宝の前で過ごせると考えたら目の保養にもなるのでは?


「凛ちゃん…あんた、たまによろしくない顔をするね…。」


竜司くんに指摘されてドキッと心臓が縮んだ。

下心…バレた…?

ははは…、と引き攣った笑みを浮かべてなんとか誤魔化す。

出会った頃から不思議だと思っていたけど、なんで竜司くんは私の小さな表情の変化にも気づけるのだろう。


「な、何の話かなぁ?あ、勉強の件、受けるよ。」


早口でそう言って話題を逸らした。

竜司くんの顔がパッと輝く。

眩しっ…!なんで竜司くんはこんな素直な顔ができるのに、いつもあんなにポーカーフェイスなんだろう…。

絶対、たくさん笑った方が人気が出るのに…。


「ほんとか?ありがとなぁ!!」


竜司くんが私の手を取って振った。

こういう、たまに出てくるどこか子供っぽい竜司くんは面白い。