「竜司くーーん!!助けてぇ……」


翌日、疲れ切った私が竜司くんの店に行って最初に言った言葉は、それだった。

厨房から竜司くんが出てくる。


「どうした、また熱中症か?」

「違うよ!」


私はカウンターの仕切りを開けて厨房に向かった。


「全部、瑠衣のせいだぁ……!」

「おいおい、どうしたんだよ。酔っ払いみたいなこと言っちゃって。」


力なく椅子に座った私に、竜司くんがすかさず麦茶をくれる。

気遣いが流石すぎる…。

冷たい麦茶を喉に流し込むと、頭が少し冷えた。


「ごめんね…」

「いいから話してみろよ。」


竜司くんの優しさに甘えて、私は全てを吐き出した。

今日も、学校で瑠衣に絡まれたこと。

クラス全員に注目されてしまったこと。

瑠衣のことについてたくさん話しかけられたこと。

蓮がずっと瑠衣のそばにいて、話せないこと。

クラスがうるさ過ぎること。

瑠衣に、「話しかけてくるな」って伝えても、全然効果が無いこと。


普通の人なら「これくらい」と思うかもしれないが、私にとっては死活問題だ。

普通の人の何倍も疲れるし、メンタルにガタが来てしまう。

それこそ、授業中にどっと疲れが来て、突然眠ってしまうこともある。

そんなことじゃまともに授業も受けられない。

せめて、瑠衣を私から離したい。


つらつらと私が吐き出す中、竜司くんは静かに聞いてくれた。