「で?なんか悪態をついているようだったけど、誰に対してかな?」

「っ……!」


こいつ、私の独り言を聞いていたんだ……。

うわぁ、なんとも嫌な奴。


「つ、着いてこないでよ!」

「それはこっちのセリフ〜」

「はぁ?瑠衣が後ろから来たんじゃん。」

「あんたの足が遅いからだろ。」


言い合いながらも並んで歩く私たち。

いや、ほんといつまで一緒に歩くのよ!

ゆっくり歩いているのが面倒になった私は、あさがお園に向かってダッシュした。


「え?ツナちゃん?」


革靴で走るとやっぱり痛い。

走って、走って、暫く走って、そろそろ瑠衣も別方向に行っただろうと思って息を切らしながら振り向くと…。


「ツナちゃん、足速いねー」

「ぎゃあ!?」


なんか着いてきているんですが。

ホラゲーさながらのシチュエーションに私は思わず叫んでしまった。

夏の暑さに汗を垂らしながら私たちはまた向き合う形になった。


「てかツナちゃん革靴でよくそんなに走れるね。俺はスニーカーだったから良かったけどさ。」

「いや、もうだいぶ限界なんだけど。」


少し息を切らせて、悔しいほどに色っぽい瑠衣。

あーなんか本当にこいつ腹が立つ!!

それに、あさがお園はすぐそこなんですが。

どうして…?まさかここまで着いてくるとは思わなかった。