「つ、疲れたぁっ……!」
げんなりしながら帰り道を急ぐ。
瑠衣の奴、周りの女の子たちだけじゃ満足できなかったのか、私にまでダル絡みしてきた。
毎回塩対応をするも、クラスメイトたちが興味津々。
『コミュ障陰キャ』でクラスで空気のような存在だった私が、瑠衣のせいでおそらく男女共にクラスの大半に認知された。
良いことなんだか悪いことなんだか分からないが、愉快な気分では無い。
「あの野郎っ!!私の平穏な学校生活を邪魔しやがって…。」
一人で歩いているのを良いことに、悪態をつく。
今日は竜司くんの店が定休日だから、あさがお園に一直線だ。
はぁ、とため息をつきながら歩調を早めた。
「なーに独り言言ってんの…?ツ・ナ・ちゃ・ん??」
「ぎゃあ!!!」
突然肩をポンと叩かれ、飛び上がる。
聞き慣れた声だ。
後ろから男の人にいきなり触られるのは苦手だって言ったはずなんだけど!?
勢いよく振り向いて瑠衣に腹パンを見舞う。
しかし、本気ではないが、一発殴ろうと思っていた手を押さえつけられた。
「おっと、危ねぇな。竜司さんの言うようにすぐ腹パンするんだな。構えといて良かったぜ。」
「そんな爽やかな顔で言うな!」
あー、なんか無性に腹が立つ。
私は憤慨しながら瑠衣から顔を逸らした。