「そんなんじゃねぇ!……凛ちゃんはバイトしてくれてんだよ。」


竜司くんは私を見て気まずそうな表情をした。

私も曖昧に微笑み返したが、正直今の状況は全く飲み込めていない。


「へぇ、随分と可愛い子だね。竜司さんらしいや。どーせ都合の良い女でしょ?」

「てめっ……、ぶち殺すぞ」


嫌味を言う瑠衣を竜司くんが物理的に揺さぶる。

不機嫌そうに口元を歪めた竜司くんは、総長の時の顔をしていた。


「竜司先輩、勘違いしないでください。僕たちは先輩の店を“良心で”見に来てあげたんですよ。」


良心で、と強調して慎吾がメガネを手で直しながら言った。


「あぁ?じゃあせめて瑠衣の口を縫ってから来やがれ。」


そう言いながらも2人を店の奥へと通す竜司くん。

しばらく客が来る気配もないし、私はしばし店を放置して彼らに同行することにした。

それにしても……やたら顔面偏差値の高い集団だ。

胃もたれするほどに顔の良い竜司くん。

やけに可愛らしい顔の瑠衣。

しっかりとした印象で顔のパーツが全て一ミリの狂いもなく黄金比なのかと思うほどイケメンな慎吾。

そして若干小柄な瑠衣を除けば竜司くんと慎吾は身長でいい勝負で、180弱くらいありそうだ。
小柄といっても瑠衣でさえおそらく170半ばだ。

あわわ……イケメンが多すぎてお腹いっぱいです。

宮川凛は、一度にこんなにイケメンに会ったのは今日が始めてです。


私がボケっとイケメンを眺めている間に、やたら大きいキッチンのテーブルの周りに全員集まり、竜司くんが全員分のオレンジジュースを注いだ。