不覚にも、ジワリと涙が浮かんできてしまいそう。

そんな時、2人は一斉に声を上げた。


「お、おい!竜司さん!!あんた女の子の友達がいたのかよ!!」

「竜司先輩!!出てきて詳しく話を聞かせてください!!」


あ…あれれ……?

この人たち…竜司って…。

もしかして、竜司くんのお友達…?


「うわぁっ!!る、瑠衣(るい)慎吾(しんご)じゃねぇか!アポくらい取りやがれ!!」


厨房からすごいスピードで飛び出してきた竜司くんが一瞬で2人の首根っこを捕まえた。

2人は逃げるまもなく子猫のように竜司につままれ、されるがままに引きずられている。


「せっかく来てやったのに、なんだその言い草は」

「そうですよ。客足はどうなんですか?」


引きずられながらも冷静にそう問う彼ら。

……慣れているのだろうか。


「うるせぇ。別にお前らに助けなんて求めてねぇよ」


低い声で反論とは言い難い半端な足掻きをする竜司くん。

厨房からは蓮ちゃんとゆっこちゃんも出てきて、この騒ぎを死んだような目で見つめている。

私はスケッチブックを掲げたまま半端な笑い顔をすることしかできなかった。


「竜司さん。あの子は何?もしかしてカノジョ??」


瑠衣と呼ばれたパーカー姿の男はニヤニヤ笑いながら私を指さした。

矛先がいきなり私に向き、頭の中がパニックになる。