「………ってことは、御神楽くんがこの店を運営しているってことなのね…。どう言う事情があるんだか知らないけど総長さんがケーキ屋なんて、天変地異みたいなこともあるもんだ。」


いまだに疑いの眼差しを竜司くんに向けながら、蓮ちゃんが呟いた。


「凛ちゃんは割れ物よりも大切に扱っているんでしょうね!?」


蓮ちゃんの厳しい指摘に竜司くんは目を白黒させた。


「はぁ?どういうことだよ。熱中症でぶっ倒れてきた凛ちゃんを助けてあげただけでもありがたいと思えよ!」


誰にでもグイグイ行くタイプの蓮ちゃんは、もうすでに竜司くんを自分の会話のペースに巻き込むことに成功していた。

そんな蓮ちゃんに小言を言いながらも、竜司くんは楽しそうだった。

楽しそうな竜司くんを見ているとなんとなく私も楽しかった。

同じ仏頂面仲間として、竜司くんが自然に笑ってくれると、私も自然に笑えるような気がしたから。


「言っておくが俺はお前より年上だからな。舐めた口きくなよ。」

「えー?あんたが先輩とかないない。どーせ一個しか歳違わないんだしタメでいいじゃん。」

「っ…!こんのメスガキがぁ…」


そういえば私も彼女のこのコミュ力に救われた。

蓮ちゃんは本当にすごいなぁ。

どうしてそんなに強いのだろう。