バイクをかっ飛ばす。

涼しい風が体に吹き付ける。

海沿いの国道を走る3つのバイクと6人の高校生。


「わぁ、海って綺麗。」


思わずそんな言葉が漏れた。

ジャケットによる暑さも吹っ飛ぶ。

そういえばこの前は軽装でバイクの二人乗りをしたけれど、流石に危ないのと警察に補導されたくもないので、きちんと夏用のジャケットを買った。

それが思ったより暑くて蓮は最初からバテ気味だったけれど、走り出してからは蓮もテンションが上がったらしくさほど気にしていないようだった。

私たちは年齢的に高速道路は使えないため下道を走っているが、景色の良いこの道は最高だ。

高速道路を使わないでよかった、なんて思っている。

私たちは今、北に向かっている。

休暇の命令が出たあと、結局海に行くことになった。

この後が双竜会の便利なところで、双竜会繋がりの竜司くんの知り合いが海の近くで民宿を営んでいるらしい。

双竜会の総長とその連れが泊まると連絡したところ、まさかの格安で泊めてくれるそうだ。

一体どんな恩を売ればそんなに優遇されるのだろう…。

やっぱり総長の竜司くんはすごい。

ぼーっとそんなことを考えていたら、私の膝をかすめて一台のバイクが追い抜いた。

少々乱暴な瑠衣の運転に見事に適応した蓮が振り返って私に手を振った。

嬉しそうな蓮に手を振りかえし、竜司くんの背中に寄りかかる。


「もうすぐ着くからな、凛ちゃん。」


彼の優しい声に頷き、視線を海に戻した。