しばらくして、私と竜司くんはあの、ステージのあるホールにいた。

本部にいた双竜会のメンバー全員がホールに集合している。

なぜ私がそれを見渡すことができるのかって?


「ちょ、ちょっと竜司くん、なんで私も一緒なの!?」


隣に立つ竜司くんを睨み、小声で必死に叫ぶ。


「発案者なんだからあんたはここにいなきゃダメだろ。」


それを涼しい顔で受け流す竜司くん。


「本当にダメ。私が倒れても知らないから!」


これはあながち冗談ではない。

極度の不安症の私は人の前に立つなんてマグマに飛び込むくらい難しいんだから。

過呼吸にでもなって倒れるのがオチだろうとわかっている。


「凛ちゃんは立っていればいいんだからさ。それに倒れたら俺が支えるからさ。」


クスクスと笑いながらそう言う彼。

悔しいほどに顔が良くて腹が立つ。


「……っ。いいよ、その顔に免じてね!」


プイとそっぽを向き、諦めて言った。


「大丈夫大丈夫。自分が発案者だって伝えれば良いんだからさ。」


そう言う竜司くんに盛大にため息をつき、体重を左足に乗せた。

痺れそうになっていた右足が多少楽になった。

その時、突然ホールの扉が閉められた。

いくつかある扉が瑠衣たちによって一斉に閉められた。

それが合図だった。

竜司くんが息を吸う音だけが響いた。


「双竜会員に告ぐ!!」


見事にホールに反響する竜司くんの声。

絶対に揺れない堂々とした強い声に、ホールにいる全員が頭を下げた。