それから総長室で少し話し合った。

壮助、瑠衣、雅也、私を竜司くんが仲介しながら状況を整理し、手際よく解決していく。

結局新人の雅也が早合点し、私たちが双竜会の姫の座を狙っていると勘違いして暴走したのが基本的に悪い、という結果になった。


「雅也、次はないからな。」


低い声で竜司くんが伝えると、小さく「うす」と答え、雅也は総長室をあとにした。

ドアが完全に閉まると、竜司くんは椅子の背もたれに身を委ねた。


「雅也もさぁ、根本的には双竜会のためと思ってやったんだよなぁ。それにしても最近の双竜会は雰囲気が悪りぃ。」


組織のトップに立つ者としての竜司くんの苦悩が感じられる。


「ねぇ壮助、『姫』って何?」


考え込む竜司くんを邪魔してはいけないと思い、壮助の耳元で囁く。

ずっと気になっていたけど、今まで聞き出せないでいたのだ。


「えっと……簡単に言うと、組織全体で守ると決めた女性のことっすかね…。基本的には総長の恋人っすけど。」


壮助も私に耳打ちしてきた。


「おーいそこ、全部聞こえてんぞ。」


突然聞こえた竜司くんの声に心臓が飛び出るような感覚がして、慌てて振り返る。

その拍子に額が壮助とぶつかった。


「痛っ」


お互い頭を押さえて顔を見合わせる。

すごく微妙な表情をした壮助と目が合った。

状況を飲み込めておらずに目が点になっている。

途端におかしさが込み上げてくる。


「あはははは」


思わず吹き出してしまった。