「蓮………」


沈黙の気まずい空気に耐えかねて、私が先に蓮に声をかける。


「凛っ…私っ……」


突如として蓮の涙が決壊する。


「どうしよう…瑠衣に嫌われたかもしれないっ…!!」


ぐすんぐすんと鼻を啜りながら、私に訴えかけてくる。


「ちょ、ちょっと待って、どういうこと!?ゆっくりで良いから話して。」


嗚咽を漏らす蓮の背中をさすりながら彼女を落ち着かせる。

いつだったか、過呼吸に陥った私を、ゆっこがそうしてくれたように。

彼女は、途切れ途切れに、話した。

私はそれをただ聞いた。

それは、恋愛相談だったが、単純な恋愛相談というわけでもなかった。

彼女の話を要約すると、こういうことだった。


瑠衣に、「距離を置こう」と言われた。

蓮が混乱しているうちに瑠衣は話をまとめてしまい、蓮から離れてしまった。

それから、話しかけてくれない。

瑠衣がなぜよそよそしくなったのか分からずに1日過ごしていたが、ふとクラスのグループチャットを見ると、今日蓮に暴行していたうちの一人が、蓮についての情報を漏らしていたそうだ。

それは、彼女が絶対に人に知られたくないことで、それを見た瑠衣が蓮に幻滅したんじゃないか。


それが蓮の言い分だった。

もう…なんというか…恋って怖い。そんな感想しか出てこなかった。