「蓮を大事にしなさいよ!蓮を守りなさいよ!蓮と仲良くするなら、蓮が大切なら、蓮が傷つかないように細心の注意を払ってよ。」
また溢れそうになる涙を必死で堪える。
瑠衣が、蓮と特別仲良くしているのは私もゆっこも知っている。
気が合うのか、二人はよく一緒に話して盛り上がっている。
側から見てもお似合いの二人だ。
だから、なおさら、瑠衣に怒った。
「ゆっこ、行こう。」
私はゆっこを連れて校舎裏から立ち去った。
鼻をすすって、笑う。
「あはは、私ちょっとカッコよかったかな?」
ゆっこが無言で私の手を握った。
彼女の柔らかいその手が、答えだった。
「蓮も、凛も、瑠衣も、大切な友達。私たちの関係が壊れるのなんて、絶対に望まない。」
しっかりとした声で彼女がつぶやいた。
「そうだね。」
ああ、私は素敵な友達を持ったんだなって、心の底から思った。
ふと振り向くと、瑠衣と蓮が何かを話しているようだった。
瑠衣の問いかけに蓮が首を振ったり、頷いたり。
二人が何を話しているかは分からないけど、事態が悪い方向に行かないように願っている。
今、心から思っている。
私の耳が良くて良かった。
この耳は偶然の産物だろうけど、蓮の声を聞くことができたから、蓮を助けられた。
トラウマを少し、破ることができた。
本当に、良かった…。