「2度と、蓮に近づかないで。蓮を傷つけないで。心の傷は一生残るんだから。蓮の心に醜い傷をつけたら、絶対に許さない。」


彼女を睨み、低い声で宣戦布告して、締め上げた腕を関節と逆の方向に曲げる。


「や、やめてぇぇ…痛い、いだいよぉ……。」


骨が折れそうになって泣き叫ぶリーダー格の子。

他の2人は、完全に逃げ腰で、オロオロしている。


「凛…!もう良いから!やめて!」


蓮が後ろから抱きついてくる。

その温かさに、手から力が抜けた。

私は、リーダー格の子の腕を離した。

どさりと尻餅をついたその子は、這うようにして逃げた。

その後から2人も私たちに背を向けて逃げた。


「凛……。」


突然、全身から力が抜けて、地面にペタンと座り込む。

ボロボロと涙が出てきた。


「怖かった……怖かったよ……。」


色々な感情がごちゃ混ぜになって、情緒が不安定になる私を、蓮が優しく抱きしめた。


「怖かったよね……ありがとう…ごめんね…。」

「良かった、私っ、友達を裏切らなくて良かった…!!蓮を失わなくてよがっだぁ……」


涙が後から後から溢れ出てきた。

トラウマを破るのって、こんなに大変なんだ。

わんわん泣く私を、蓮が優しく摩ってくれる。

温かい。心地いい。


「凛〜〜!!」


突然ゆっこの声が聞こえて、私は顔を上げた。