でも、自分自身がそんな感情を持っているからこそ、わかる。

蓮を嫌な目で見つめる人たちがいること。

どす黒い感情を抱えて、蓮を見る人たちがいること。

蓮は真っ直ぐすぎる。

いつも瑠衣の隣にいる蓮を、恨む人たちがいたってそれは自然なことだ。

正直私は、そんな黒い感情を抱えた人たちがいつ暴走しだすか、心配でたまらない。

蓮が傷つけられることがないよう、祈っているけど、嫌な予感は消えない。


そして、こういう嫌な予感ほど、的中率が高いのだということを私は知っている。

悪い予感ほど的中しやすいものは無いのだ…


昼休み。

今日も一人でご飯を食べることになりそうだな、と思いながらも蓮とゆっこを探す。

ゆっこはすぐに見つかった。瑠衣もいまだに女子に囲まれている。

でも、蓮はいくら探してもいなかった。

なぜだろう…。

胸騒ぎがする。

朝感じた、悪い予感がまた蘇ってきた。

ゆっこも蓮がいないことに気づいていそうだった。

心配そうな彼女に声をかける。


「ゆっこ、蓮がどこにいるか分かる…?」


ゆっこは肩をすくめた。


「分からない…。ちょっと心配だね。でも蓮のことだし、すぐに帰ってくるんじゃない?」


私よりは楽観的なゆっこ。

…私の考えすぎなのかな。

心配な思いを無理やり振り払い、私はゆっこと共に学食に行くことにした。