殺人事件の対策本部が設置され、瞬や須藤、他にも大勢の刑事が集まるシーンが撮影される。

現場から帰って来た深夜0時の会議室、という設定でカメラが回り始めた。

前方のホワイトボードに貼られた情報を見ながら、緊迫した雰囲気の中でセリフが続く。

被害者は大企業の社長の男性で、犯人に繋がる手がかりはない。

しかも現場には、『復讐のはじまりだ 容疑者B』と印刷された紙切れが残されていたのだ。

捜査は難航し、時間との戦いになる。

腕時計にチラリと目を落とし、帰宅出来ないことを心の中で詫びるような表情の瞬。

とそこに、一人の刑事が駆け込んでくる。

「犯人が接触してきました!」
「なに?!」

会議室の空気が一気に変わる。

「メールで動画が送られてきたんです。これを」

そう言って、手にしていたノートパソコンを操作する。

映し出された動画に、瞬は息を呑む。

そこに映っていたのは、広い倉庫のような場所でぐったりと横たわる妻と息子の姿だった。

「カット!」

助監督がそう言っても、その場の空気は変わらない。

誰もが押し黙り、重々しい雰囲気が広がっていた。