「それからこれは私からのお願いで、無理強いするつもりはないんだけど…」
「え?どうしたんですか、優子さん」

あみ達が首を傾げて聞く。

「ええ、あの…。明日、週刊誌の発売と同時に一気にマスコミが押し寄せてくると思うの。記事が事実無根でも、そんなことは関係ないとばかりにね。だから、りな達3人とも、今夜からしばらくホテルに泊まってもらえないかしら?あなた達に何かあってからでは遅いし、私はなんとしてもあなた達を守らなければいけないから」
「え、そこまでの話なんですか?そんなに危険なことに?」

ふうかの言葉を、優子はすぐさま否定する。

「ううん。過剰に怯える必要はないわ。ただ、あなた達のマンションはマスコミがしばらく張り込んで動きづらくなるし、それならいっそ、ホテルの方が静かに過ごせるかなと思って」

んー、と少し考え込んでいたりなが、にっこり笑って頷いた。

「分かりました。そうさせてください」
「え、いいの?りな」

優子がパッと顔を上げる。

「はい。その方が安心だし。ね?いいでしょ?あみもふうかも」

二人も笑顔で頷く。

「うん!なんだか旅行気分で楽しそう」
「そうだね。部屋でたくさんおしゃべりしようよ」
「せっかくだから、新曲の練習しない?」
「いいねー!」

盛り上がる3人に、優子もホッとして笑顔になる。

「ありがとう、みんな。新曲の振り付け動画、出来てるところまで送るわね。あと、ルームサービスは何でも頼んでいいわよ」
「やったー!」

3人はハイタッチして喜んだあと、ふいに明日香を振り返った。

「ね、明日香も一緒に泊まろうよ!」
「え、ええー?!私も?」
「そうだよー。明日香ともおしゃべりしたいもん」
「新曲の衣装デザイン、考えてる途中だしね」
「優子さん、いいでしょ?」

優子が頷くと、3人は、決まり!とばかりに喜び合う。

「やーん、楽しみ!」
「朝までしゃべっちゃいそう」
「恋バナしちゃう?ね、明日香も」

楽しそうな3人に、明日香も仕方ないかとばかりに頷いた。

「やったー!明日香も一緒だー!」
「ちょっとみんな。その前に今日の生放送忘れないでね」

優子がそう言うと、3人は「忘れてたー!」と声を揃える。

「なんか楽しそうだな。富田さん、俺達も一緒に泊まっていい?」
「バカ!いい訳ないだろ!それこそ『熱愛大発覚!』ってデカデカ記事にされるわ」
「ははは!大発覚!もはや誰と誰がペアなのか分かんないな」

真顔の富田に、直哉はおかしそうに笑い出す。

「え、でも俺達は?別のホテルに籠もらなくていいんですか?」

充希が尋ねると、富田は、うーん…と思案する。

「出来ればその方がいいけど、みんなのプライベートも大事だからな。希望者だけホテル泊にしようか」

すると直哉がメンバーを見渡した。

「取り敢えずみんなで2泊しない?」
「うん、いいよ」

あっさり優斗が答えると、充希も同意する。

「そうだな。俺も新曲の振り付け、みんなで確認したいと思ってたし。瞬もいいか?」
「ああ、大丈夫だ」
「よし!じゃあ決まりな。富田さん、ホテルの予約お願いします」

富田は笑顔で皆に頷く。

「分かった。贅沢な部屋押さえてやるよ」

イエーイ!と、直哉達もりな達に負けずに盛り上がる。

「さてと!じゃあまずは生放送、頑張りますか!」
「はーい!」

7人は笑顔で立ち上がった。