「みんななかなかいい反応だが、落ち着いてくれ。この記事では、優斗とあみちゃんの熱愛発覚!私服で見つめ合うお忍びデート、と書かれているが、写真を見ると一目瞭然。このゲネプロの時に撮られたものだ。俺がたまたま撮影していたこの動画と見比べてみると、角度から言っておそらく俺の少し右側から撮ったものだと思う」
「なるほど、確かに。で、誰がいたんですか?その時富田さんの右横には」
「それがな…」

深刻な顔で言葉を止めた富田に、皆はゴクリと生唾を飲む。

「誰もいなかったんだ」

ヒーー!!と直哉が裏声を出して仰け反る。

「こわ!え、そういう話?」
「なに?怪談話ってこと?」
「やだー!怖いー!」

肩を寄せ合って怯えるメンバーに、富田はまたしても両手で遮る。

「違うって!ごめん、悪ノリした」

えー?!どういうこと?と皆は不服そうに富田を見上げる。

「確かに誰もいなかったんだけど、俺の右横に大きな会場装飾の花が置いてあったんだ。おそらくその中にカメラを隠して動画を撮影していたんだと思う。もし途中で誰かにカメラを見つけられても、名乗り出なければ捕まらないからな」
「なるほど!あったまいいー!」
「優斗、感心するところじゃない」

無邪気な声を上げる優斗に、充希が突っ込む。

「とまあ、そういう訳だ。明日この記事が載った週刊誌が発売されるが、うちの事務所もコットンの事務所からも、この動画をマスコミ各社に配信する。あとはワイドショーなんかが種明かしをしてくれるだろう」
「へえー」
「優斗、ここが感心するところだ」

またしても充希が優斗に突っ込み、皆は思わず笑い出す。

「そっか!じゃあ俺達は普段通りにしてればいいってことですよね?」
「ああ。だが、今夜の生放送でも、もしかしたら同じ犯人が盗撮を試みるかもしれない。週刊誌に第2弾の記事を載せる為にな。だからくれぐれも注意してくれ。もちろん、俺も優子さんも目を光らせておく。陽子さんと明日香ちゃんも、よろしく頼む」

分かりました、と二人で頷く。

すると、それまで黙っていた優子が控えめに口を開いた。