(莉子side)

司さんが変だ…。

2人濃密な休日を経て、やっと本当の夫婦になれたんだと安堵と共に、女としての幸せまで感じていたのに…。

休日が明けたらなぜが以前よりよそよそしくなってしまった気がする。いつも通り優しくて、心配症なのは変わらないのだけど…。

必要以上に触れて来る事がなくなってしまった気がして、寂しく感じている。

何か私が粗相をしてしまったのだろうか…?
そんな不安さえ押し寄せてくる。

今まで夫婦の営みについて誰かに教わった事も無く、全く知識を持ち合わせていなかったから、私にとっては驚きと衝撃的な体験ではあった。

それでも司さんが優しく導いてくれたから、ひとつになれた時は感動で泣いてしまった程だ。

司さん以外の誰かとなんて到底出来ないと思うほど、死ぬほど恥ずかしい体験だった。

それなのに…
休みが明けたら一緒に寝る事も叶わず、一線を引かれてしまった気がして寂しくなる。

手に入った途端、私に興味が無くなってしまったのかしら…そう思うと泣きたくなる。

亜子に相談してみようかしら…?
でも、夜伽の所作なんてあるのかな?とても恥ずかしくて聞ける訳が無い。

無論本人なんて聞ける訳が無いから、今夜も1人広いベッドに潜り込んで、悶々と考え込む。

こちらに来てから、一緒に寝る事が当たり前になっていたから、その温もりが恋しくて、寂しくて、なかなか寝付く事が出来ないでいる。

日中は忙しく、若旦那様とのダンスの稽古に、買い物にと、日常の家事を妹とこなしていると、あっという間に日が暮れるから、司さんとの事を考え無くても済むのだけれど…。

今週末には麻里子さんが、1泊2日で遊びに来てくれる事になっている。楽しい事間違いないのに、この3日気持ちは沈みっぱなしだ。

ここは私から、頑張って近付かなくては…このまま捨てられてしまうかもしれない…。
泣きたい気持ちをグッと我慢して下唇を噛む。