「藤屋は食事も最高だから、今夜は楽しんで行って。学君もお兄さんを連れて来てくれてありがとう。」
「いえ、こちらこそ。助かりました。」
「旭には僕も一度会っただけなんだけどね。
僕の贔屓の夕顔の振袖新造なんだ。舞が上手で華がある子だよ。」
にこやかにそんな話をしていると、
「失礼致します。」
と、襖の外から声がかかり、スーッと襖が開く。
「振袖新造がご挨拶に伺いました。よろしくお願い致します。」
女将が頭を下げて入って来た。
その後を真っ赤な振袖を着た女子が2人、白く白粉を塗った顔に唇には真っ赤な紅をさし、一見どちらも同じ顔に見えてしまう。
しかし…最後に入って来た女子は…。
似ている。と、思う。
手をつき頭を下げる仕草、節目がちの視線、莉子に雰囲気が似ている…。
「振袖新造の琴乃です。」
「同じく、振袖新造の旭です。どうぞよろしゅうありんす。」
独特な花魁言葉を巧みに使いながら挨拶をして来る。
「今夜はよろしくね。夕顔はまだ出見せなの?」
「いえ、今しがた庄屋の旦那様がお早くお見えになられておいででして、少し待っておくんなんし。」
「そうかじゃあ、先に食事をお願いしようかな。あと、踊りもよろしくね。」
若旦那が慣れた感じで声をかけると、二間続きの襖が空いて、赤い絨毯に金屏風の6畳間が開かれる。
そこに三味線や琴を持った若い女子衆がやって来て、
挨拶をして弾き始める。それに合わせて振袖新造の2人は踊り出す。
これがお座敷というものか、と俺は感情もないまま見続ける。どう、声をかけていいものか…少し考える。
学を見ると目配せしてくるから、まだタイミングでは無いと言う事か…。
今宵はいつまで続くんだ?
何となく妹の旭に目を向けるが、どうも莉子と被って直視出来ないでいる。
頃良いタイミングで食事が運び込まれて、少しずつ食べ始める。
「いえ、こちらこそ。助かりました。」
「旭には僕も一度会っただけなんだけどね。
僕の贔屓の夕顔の振袖新造なんだ。舞が上手で華がある子だよ。」
にこやかにそんな話をしていると、
「失礼致します。」
と、襖の外から声がかかり、スーッと襖が開く。
「振袖新造がご挨拶に伺いました。よろしくお願い致します。」
女将が頭を下げて入って来た。
その後を真っ赤な振袖を着た女子が2人、白く白粉を塗った顔に唇には真っ赤な紅をさし、一見どちらも同じ顔に見えてしまう。
しかし…最後に入って来た女子は…。
似ている。と、思う。
手をつき頭を下げる仕草、節目がちの視線、莉子に雰囲気が似ている…。
「振袖新造の琴乃です。」
「同じく、振袖新造の旭です。どうぞよろしゅうありんす。」
独特な花魁言葉を巧みに使いながら挨拶をして来る。
「今夜はよろしくね。夕顔はまだ出見せなの?」
「いえ、今しがた庄屋の旦那様がお早くお見えになられておいででして、少し待っておくんなんし。」
「そうかじゃあ、先に食事をお願いしようかな。あと、踊りもよろしくね。」
若旦那が慣れた感じで声をかけると、二間続きの襖が空いて、赤い絨毯に金屏風の6畳間が開かれる。
そこに三味線や琴を持った若い女子衆がやって来て、
挨拶をして弾き始める。それに合わせて振袖新造の2人は踊り出す。
これがお座敷というものか、と俺は感情もないまま見続ける。どう、声をかけていいものか…少し考える。
学を見ると目配せしてくるから、まだタイミングでは無いと言う事か…。
今宵はいつまで続くんだ?
何となく妹の旭に目を向けるが、どうも莉子と被って直視出来ないでいる。
頃良いタイミングで食事が運び込まれて、少しずつ食べ始める。