すっと、立ち上がると、その振動でゴンドラがぐらりと揺れた。
私はそのまま正面に座っていた先生の隣に腰を下ろす。
ぎゅうっと、腕にしがみつく。
顔に熱が集まっていくのが、わかった。
「……さき…?
どうした、急に」
私の突拍子のない行動に先生が不思議そうに声をあげた。
それでも、なお私は先生の腕を離さずに、さっきよりも力をこめてしがみついた。
頭の上で、ふっと先生が笑うのを感じた。
そして次の瞬間には、深く深く先生の唇が私に落ちてきた。
キスが落ちてくる中、薄く目を開けて見えた景色は、藍色の世界できらきらと輝く光だった。
美しい、光景だった。
(…いつの間にか
頂上にきてたんだ……)