「凛!電話に出てよ!心配したよ!本当に!」
と、
柚香が駆け寄ってきたのと同時に抱きしめてくれた。
もう自分でも驚くくらい涙が出てきて、抑えることを知らなかった。
『もうどう…』
と、話せなくなったのと同時に自分が過呼吸になってることに気付いた。
息を吸いたくても吸えなくて…苦しい。
苦しくて、目の前が白くなってくる感じがした。
でも、舜くんと一緒にだったらあの世に行くのも怖くない。むしろ、一緒に行きたい。
「落ち着いて」
と、柚香の声が私の耳に入ってくるけど…無理。
どうやって息を吸えばいいの。
柚香の後ろにいた龍生が看護師さんを呼んでくれたらしく、看護婦さんが来てやっと落ち着くことができた。
「凛がしっかりしなきゃ!」
『舜くんが死ぬなら私も死にたいの』
「ダメ!絶対!」
初めて柚香に怒られた気がする…
それに、柚香に怒られて少しハッとした自分がいた。
『舜くんに会いたいよ、もう』
そう言って弱音を吐いていると柚香の手が急に離れて席を立っていなくなってしまった。
何?行かないで欲しい…
柚香も行ってしまったら、私はどうしたらいいのかわからない。
と、
思っていたら柚香が引き連れてきた人がいた。
舜くんのママだった。
私は、お母さんと目が合った途端立ち上がってお辞儀をした。
『初めまして、凛と言います』
「私は柚香と言います。3人とも橘先輩の後輩として働かせて頂いてますが、凛はお付き合いもしてます。」
「さっきお電話してくれた方ね。いつもありがとう。」
『こちらこそです』
「泣かないで、舜は絶対大丈夫だから」
「今、先輩はどんな容体なんですか?」
「今、手術をしていて私たちも会えないの」
『会える時がきたら私も会わせていただけますか?』
「もちろんよ」
と、
手を握っていってくれた舜くんのお母さん。
心強い、それだけでも頑張る気がした。