私は、準備を進めながらスマホの応答ボタンを押して『はい』と耳に当てた。






「こちら、〇〇病院ですが橘舜様のご家族のご連絡でお間違えないですか?」





え?病院って何?

一瞬、時が止まって目の前が真っ白になった。





『…はい?』

「事故にあって本病院に運ばれて来られましたが意識がありません。病院に来て頂くことはできますか?」

『彼女なんですが』

「親族の方にご連絡が付く方法ありますか?」

『スマホを触ればわかりますが』

「来てもらえますか?」

『行きます』




と、

言って電話を切ってとりあえず家を飛び出した。




病院に行く間の記憶はほとんどないけど、とりあえずタクシーに乗ったことは覚えている。




一向に震えが止まらない…

意識がないってどういうことなの?会えないの?





一種のパニック状態に陥っていた。


病院に行って『橘舜の件で連絡が来たものですが』と言うと「しばらくお待ちください」と言われた。





お待ちくださいって何!

早く、会わせてほしい。もうどうしたらいいの…





待っていると奥から違う看護師さんが来て「来ていただいてありがとうございます」と言った。

身分証明の確認をされた後に舜くんのスマホを渡され、現実を突きつけられているようで泣き崩れてしまった。






でも、両親に連絡しないといけないと思って…

スマホの暗証番号を打って、LINEアプリを開いた。






下の方にあった「母」の文字。





この電話が初めましてだけど、緊張してる場合ではない。




早速電話をした。





『もしもし』

「舜?」

『岩城凛といいます、突然すみませんが、今舜くんが事故にあって◯◯病院に運ばれました。親族の方しか会えないみたいで…私は会えないのですが来てもらうことはできますか?』

「はい、今すぐ行きます」

『どれくらいで来れますか?って病院の方が』

「1時間以内には」

『伝えときます』

「意識はあるのかしら」

『…ない、みたいで…す』

「今行きます」




と、言って電話は切れた。